「カンサス=トットリーンズ事件」1

40年近く前、当時の若者・四〇何某という人が、次のような趣旨のことを音楽雑誌に書いていた。


カンサスなんてイモだ、『トットリーンズ』だ。それに比べて、なんとヒューマン・リーグのすばらしいことか。これからはヒューマン・リーグだ。」 


カンサスが何故イモなのだ?

私はブルー・オイスター・カルトファンであるが、カンサスのことも風呂場で歌えるくらいには聞いていたので、少し気分が悪かった。

私はこれを「カンサス=トットリーンズ事件」として心にとどめ、40年間ネチネチ考え続けてきたのである。そして先日、偶然カンサスのギタリスト:Kerry Livgren のソロの曲を聴き、カンサスがイモ扱いされる理由を解決すべき日が来たと思った。本来、Kerry Livgrenについてはこの事件の一部として書きたかったのだが、内容がまとまらないので先に部分リリースした。(ご参考:Seeds of change-Kerry Livgren


先の一文は、

「イモなカンサスを生んだカンザス州は田舎でイモ、同じように鳥取県は田舎でイモ、もしバンドがあったらイモ」という意味であろう。


しかし、田舎とイモの定義は少し異なる。

◆田舎の定義:(大辞林)

◆イモの定義: (実用日本語表現辞典)

 

カンザス州は『田舎』らしい。Livgrenも自著の中で「rural area」と表している。農業の州だ。人口密度は、カンザス州12.7人。

鳥取県は関西から割と近く、一泊くらいで遊びにいく場所だ。古事記の昔から人が住んでいる誉れ高い町である。農業中心の地だし、確かに過疎だ。『田舎』と言えるだろう。しかし、当時から日本中で過疎化・人口の都心集中は始まっていたのだから、何も鳥取だけが田舎だったわけではない

よって、双方とも田舎だが、イモとは断定できないし、鳥取を同列に置く必然性はない。


なお、ヒューマン・リーグのおしゃれさについては認めるところだが、洗練された退廃的な都会でピコピコとダンスするのに似合うのは、私の知る限りでは六本木くらいである。『トットリーンズ』の対照として、「ヒューマン・リーグは『ロッポンギーズだ』」くらい書けば笑い(私の)をとれたのだ。


最後に、鳥取の人に失礼だ。鳥取の若者だって本屋でその雑誌を買っただろうし、本屋で扱っていない街の子は、鳥取市や米子や倉吉まで行ったかもしれない。現金封筒で出版社までお金を送っていたかもしれない。


…と、不確かな記憶をもとに、40年前の若者に対して40年後のほぼ高齢者が愚痴を書いた次第である。


余談であるが、カンザス州と鳥取県の関係について見つけたこと。

何某も、カンサス=ヒラツカーンズにしておけば、先見の明があったといわれたであろうに。

ところで。本題は、何故カンサスはイモ扱いされるのか、である。カンザスという土地のことを、私は全く知らない。きっと皆さんもよく知らないであろう。少し調べてみよう。


1.バンドのカンサス

今日のお題の発端なので、やはりおさらいを書いておかなければならない。

カンサスは1970年代後半に売れたアメリカのバンドである。その曲の内容は精神的なものをテーマにしている。


カンサスがプログレかどうか、私は何とも言えない。何故なら日本でいうプログレは、灰色の空の下、薄暗い部屋でかび臭い演奏をしている感じだが、アメリカのプログレは、明るい農場と牛と竜巻で何かやっているなあ、という感じである。日本のプログレ概念と合わないのではないかと思う。

People of the South Wind
カンザスは先住民のカンサ族に由来し、「南風の民」を意味していると言われている。
ボーカルのSteve Walsh以外はカンザス出身である。

ご覧のように、確かにジャケットはおしゃれとは言えない。

Kansas     1974

奴隷運動廃止家のJohn Brown

Song For America     1975

Masque     1975

アルチンボルドの「水」

Leftoverture     1976

Point Of Know Return     1977

Monolith      1979

アメリカ先住民のチーフ 、終末のイメージ

Audio Visions      1980

※ここでSteve Walshがいったん脱退するので、紹介はここまで。


私はドラムのPhill Ehartが好きです。 

2.カンザス州

2-1.カンザス州への行き方

Googleマップに、カンザス州の州都トピーカに行きたいと言ったら「そんなルートはありません」と言われた。行先を州最大の都市ウィチタにすると、経路が出てきた。成田からも羽田からも行ける。飛行機に乗ってしまえばそんなに遠くはない感じだ。ただし直行便は無く、安い便はダラスとかデンバーとか、「それどこ?」という場所を経由しなければならない。ちょっと面倒である。

ウィチタでググると、「軍艦」や「軍艦少女」が出てくる。カンザスには海は無い。どういうことだろう。

(写真が広がりすぎた場合はダブルタップすると戻ります。)
ウィチタ空港わー、なんか寂しいぞ。

2-2.カンザス州の場所

全域がグレートプレーンズ(大平原)の真ん中にある。土地は平坦、大規模農業に適している。農業、牧畜業が盛んである。

こんな感じ。ああ寂しい。(カンサスのCDより)

3.いきなり、アメリカの歴史

カンザス州の歴史を知るにはアメリカの歴史を知らねばならない。基礎知識がまるで無い!バカだとは知っていたが、こんな時に困るとは!  そこで、アメリカの歴史をおさらいしてみた。YouTubeの少年革命家よ、ググればいいってもんじゃないんだぞ。


カンサスのテーマにはたまに「アメリカ先住民」のイメージが出てくるので、それを手がかりに歴史をまとめてみた。(北米インディアンのことは、アメリカ先住民と記載しました。)



アメリカ、カンザス州、インディアンに関する超略年表 


年表をまとめていたら、血なまぐさくて嫌になっちゃった。

略奪、征服、自然破壊、たえまない戦争の歴史だ。500年にわたって、アメリカ先住民は殺され、白人に同化することを強いられてきたのだ。白人が来るたびに病気がもたらされ、村の人が全員死んでしまうこともあったという。その上、軍隊が来てどかされ、ひどい土地に引き回され、そのあとに入植者がやってきた。新大陸とはよく言ったものである。

以下に主だった白人の蛮行をあげていく。

そののち、カンザス州で何があったか、探ってみる。


…と思っていたら結構長編になりそうなので、今日はいったんこれで終わりにします。

(読んで下さっている方には申し訳ないが、話がこっちに来てしまいました。)

(2019/9/29)